柔軟な電子ペーパー使った11.5インチ電子書籍リーダーが登場
メールも読める電子書籍リーダー「QUE」、Plastic Logicが発表
CES2010 QUEによるPowerPoint閲覧デモ
CNN TechでもCES2010でのeReaderの活況を報じています。
Bold new e-readers grab attention at CES
以下要約
eReaderの歴史は第一世代 白黒の文字のみ、第二世代 白黒の文字と簡単な図、Webコンテンツへの接続そして、今年の2010年のCESでeReaderは大きく進化した。第三世代へ進化したeReaderはインタラクティブな図をカラーで表示し、雑誌スタイルのレイアウトが可能になった。あと、数カ月でこれらのデバイスを入手する事が可能になるだろう。
私も、このブログで2012年にはLTEが搭載され、マルチメディアコンテンツも閲覧可能なeReaderが登場すると予想しています。
2010年は電子書籍リーダ元年。5年後にはサラリーマンの必須アイテムになる。
3DTVと異なり、電子書籍の登場は単なるデバイスの進化に留まりません。このデバイスが普及することによって、大きな影響を受ける産業が登場する事になるでしょう。今回は、その点に付いて考察したいと思います。
従来の紙媒体で出版する時と、電子書籍で出版する時で、著者から読書へ届くまでの工程を比較したのがこちらの図になります。
左が現在の一般的な流通工程。右が私の予想になりますが、「5年後の出版工程はこうなる!」を図示したモノです。
左側を見て頂くと、著者が原稿を執筆してから、読書の元へ届くまでに実に複雑な工程を必要としているかがわかりますね。
例えば、私が執筆した「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」の例では、定価2600円で初版3000部ですから、全て売れると780万円になります。言ってみれば、著者はこの780万円の売上で、この一連のプロセスに関わる人々の飯代を稼いでいると言っても過言ではないでしょう。
紙の書籍を作るという事は
・紙のマスターを作る
・印刷する
・倉庫に保管する
・倉庫から本屋さんへ運搬する
・本屋にスペースを確保する
これだけの事をしなければ、一つの原稿を読書に届けるという事が出来ないんですね。一冊の本を作るという事が、どれ程大変かがお分かり頂けると思います。ですから、「紙の本を出す」という事は簡単な事ではないので、誰でも出来る事では無いという事がお分かりいただけるのではないかと思います。
上述したこれらの作業が全て不要になるという事です。
・紙のマスターを作る
・印刷する
・倉庫に保管する
・倉庫から本屋さんへ運搬する
・本屋にスペースを確保する
□消えゆく産業
・印刷会社
大量の書籍の複製で成り立っていたのですから、電子化される事による影響は避けられないでしょう。
・倉庫
電子化される事で保管場所は不要になります。
・書店
メニューからワンタッチで購入出来るようになりますから、わざわざ書店に足を運ぶ必要がなくなるでしょう。
□縮小する、又は業務に影響がでる産業
物流会社
書籍の物流という仕事が減りますから、その部分での業務への影響は出てくるでしょう。しかし、同時にアマゾンのようにネットショップから商品を購入するという流れはこれから益々一般的になっていくことが予想されますので、出版業界での運搬業務は縮小しても、その他の分野での物流業務がカバーするのでは無いでしょうか?
図書館
図書館は電子書籍化が進んだとしても、文化を継承するという役割や、全国民が貧富の差に関わりなく平等に知識を得られる場所として貴重な場所です。しかし、Googlのように過去の歴史的な文献をスキャンし、デジタル化しようという動きもあり、著作権が切れた文献等を自由に電子書籍上で閲覧する事が出来るようになれば、図書館の規模縮小を検討する動きが出てくるかもしれません。
全国の図書館の数は、日本の図書館 統計と名簿(2006)によると、公共図書館の数が3,083、大学図書館が1658存在しているとの事です。
これらの図書館の運営には勿論税金が必要ですから、電子書籍の時代において、図書館の役割を見直し、適切な規模への縮小を迫られるのではないでしょうか。
□二つに分かれる書籍の流通経路
著書自らが編集から出版までの全ての工程を手がける方法
デジタル書籍の出版は二つに分かれる事になるのではないかと思います。一つは著者自らがアマゾン等が発売する、Kindle等で出版する方法。この方法であれば、下記に示すほんの僅かな労力で自らの知識を全世界へ向けて出版する事が可能になります。
amazonのKindleで電子書籍を販売する方法 前提条件:amazonにアカウントが存在すること。 1.Digital Text Platformにログインする https://dtp.amazon.com/mn/signin ※amazonのアカウントが必要です。 2.登録する書籍の情報や販売地域を入力します。 3.書籍の電子データをアップロードする。 4.電子書籍の価格を決定する。 ※ここで決めた価格の35%が印税となる。この方法であれば、誰でも出版する事は可能ですが、反面、誰でも出版する事が可能になるため、大量の電子書籍が流通し、大勢の中に埋もれてしまう事でしょう。大勢の中に埋もれてしまわないように、PR活動が重要になると予想されます。
著書は原稿を作成し、編集、校正、販売を出版社が担当する方法
そこで、電子書籍の普及によって、出版社が不況になると囁かれていますが、私は、出版社が時代の変化に対応出来れば、「読みやすい文章に編集する」という、出版社しか持ち得ない技術を武器に、電子書籍出版ブームを追い風に業績を伸ばす出版社も登場するのではないかと期待しています。
前述した、AmazonのKindleの用に大手ネットサイトが運営する「売り場だけを提供する」方式に対して、もう一つの電子書籍流通経路とは、
・コンテンツを創り出す著者
・コンテンツを読書向けに加工する技術を担当する出版社
・広告活動を担う取次会社
といった、従来からの「出版業界」と呼ばれていたプロの集団が作品を世の中に送り出す流通経路が登場するのではないでしょうか。そして、「売り場だけを提供する」流通と、「製作からPRまでも担当する」流通に二分されるのではないかと思います。
□電子書籍のシェア争いの鍵を握る著者印税率
現在kindleでの著者の印税は35%です。紙の書籍の印税が6~10%位が相場である事を考えれば、この印税率は高額であり、著書にとっては大変魅力的です。
しかし、Amazonは販売窓口を提供しているだけであり、定価の65%も窃取している事になりますから、これはオークションサイト等のオークション会場の提供側の手数料と考えれば、「ボッタクリ」とも言える相場でしょう。
現在はKindleが市場を斡旋していますが、今後、多数の電子書籍リーダや、電子書籍の販売ポータルサイトの競争は激しくなっていく事が予想されるため、良質なコンテンツを集めるために、著書が作品を提供したくなるように、印税率は上昇していくことになるでしょう。
数年のうちに、オークションサイトと同レベルの定価の10%位を手数料として支払うというのが妥当な金額として落ち着くのではないかと思います。そうなれば、定価の90%が著者印税になることになります。
印税がどこまで高くなるかは分かりませんが、コンテンツが無ければ電子書籍リーダはただの箱ですから、良質なコンテンツを提供してもらうために、印税率というのは、大きな競争の鍵になるのではないでしようか。
そして、もう一つの流通経路である、「製作からPRまでも担当する」流通に関しては、出版社や取次会社の取り分も発生するため、印税率の上昇はそれ程極端には大きくならないでしょう。とはいえ、従来までの紙の出版に比べて、かかるコストは大幅に削減されますし、売れるコンテンツを作ってくれる有力な著書と良好な関係を築く事は、出版社にとっても大切な事ですから、現在の10%前後の印税率からは大幅に上昇する事が予想されます。
誰でも出版出来る時代、プロとアマの壁が壊れる時代。良質なコンテンツを作成出来る著者は「有利な印税率」を提示してくれる、プロットフォームへ流れていくでしょう。印税率は電子書籍リーダのシェア争いを左右する重要な要素となるでしょう。
□低価格化が進む書籍価格
印税率が90%にまでなれば、300円の電子書籍を販売しても、印税が270円得られる計算になります。こうなれば、2700円の書籍を印税10%で書いた収入と同じになります。書籍の低価格化が進む事になるでしょう。
低価格で販売し、大量に販売する事で利益を出すという、典型的なインターネットのビジネスモデルが書籍にも反映される事になるでしょう。
□大量に溢れる情報コンテツ
誰でも出版出来るようになり、クラウドの上には毎日何万という情報コンテンツがアップロードされるようになるでしよう。しかし、その大半はブログと同様に、殆の読書に読まれることなく、埋もれて行くことになるでしょう。誰でも出版出来るようになった電子書籍は「ブログのアーカイブ」のようなものになるかもしれませんね。
詐欺まがいの宣伝文句で読書の興味を引き、中身が無いといった、情報商材のような粗悪なコンテンツも多数登場するのではないかと予想します。
こういった、粗悪なコンテンツとそうでないコンテンツを見分けるために、出版社経由での電子書籍、著名な著者によるコンテンツを選択するという行動が、より顕著になるのではないかと考えられます。こういった観点から、大量に情報コンテンツが溢れる時代には、著者や出版社にとっては、今以上に「ブランディング」が重要になるのではないかと予想します。
□現在の出版関連業界はこれからどう変化していくべきか?
製紙業界
紙に固執する業種は消えていく。これは避けられないように思います。書籍流通に依存している製紙業界や、印刷業界は他業種への進出等、思い切った改革を進める必要があるのではないかと思います。
とはいえ、紙で読みたいというニーズはなくならないと考えられますから、電子媒体を紙に製本するという新たなビジネスも登場するでしょう。コンビニエンスストアや従来の書店等にデジタル媒体を製本する自動製本機のような設置をするサービスを検討するのも一つの手ではないでしょうか。
図書館
書籍の低価格化、電子書籍での過去の文献の無料閲覧が進めば、図書館の存在意義が変化していくでしょう。一般の書店で買える本を取り揃えるのではなく、資料価値の高いリサーチ会社等が提供する高額な資料を取り揃えるといった、方向性の転換が必要になるのではないでしょうか。
出版社
原稿を紙からデジタルへという発想の転換が必要でしょう。書籍を出版した事のある人間にとって、編集以降の作業の重要性はよくわかります。出版社が存在しなければ、著書は紙面のレイアウトや校正といった作業を全て一人で行わなければなりません。良書を作るという事は事実を伝えるのは当たり前であり、そこに読みやすさを提供する事も大切な事です。立派な著者の知識を、読書にとって読みやすい書籍に加工する技術。そういった技術は媒体が紙からデジタルに代わっても無くなる事は無いでしょう。大切な事は、いつまでも紙の媒体にこだわるのではなく、デジタル出版に向けての心の準備を整えていくことではないでしょうか。
書店
電子書籍になったからといって、書店がすぐになくなるかというとそうではないように思います。なぜなら紙で読みたいというニーズは無くなる事は無いと考えられるからです。しかし、それでも今のままでは売上が減少する事は避けられないでしょう。
デジタルで流通出来るコンテンツを取り扱う書店やCDショップ等のリアル店舗が考えないといけないことは、「物を買って貰うための店舗」から「足を運んで貰う事に意味がある店舗」に思考を転換していく必要があるでしょう。
□新たなビジネスチャンスが産まれる
製本ビジネス
電子書籍にオリジナルの表紙を付けたり、自分好みのサイズや紙質を指定して紙の本にしてくれる、ビジネスが登場するでしょう。
電子書籍が翻訳ビジネスを盛り上げる
電子書籍で生計を立てるためには、大量に販売する必要が出てくる事になるでしょう。そのためには英語での発売が当然有利です。電子書籍を英語で発売すれば、全世界を対象マーケットにする事が可能になります。日本語の本を英語に翻訳する、又はその逆のビジネスが盛んになるのではないでしょうか。
原稿編集代行業
企業HPの作成ビジネスが存在するように、個人が書いた原稿を校正したり、図版を追加してレイアウトを整えるといった、編集代行業が登場するでしょう。
電子書籍の口コミサイト
誰でも著者になれる時代が登場し、出版ブームが到来するでしょう。山のように溢れる電子書籍の口コミサイトが多数登場することになるでしょう。
□デジタル化でコンテンツ流通のパラダイムシフトが起きる
音楽は既にネットから入手するのが当たり前になりました。デジタル化への移行が先行している音楽業界を例に、コンテンツがデジタル化される事によって、コンテンツビジネスにどのような変化が訪れるかを予想してみましょう。
雑誌や、テレビ番組はCDのアルバムに例える事が出来るでしょう。多種多様なタレントや記事を一つの媒体とする事で、より多数の視聴者に見て貰い、広告収入で儲ける。
しかし、この方法では消費者は読みたくも無い、見たくも無い記事やタレントにお金を払わなければなりません。
音楽業界のアルバムも、ヒットした2~3曲に、そうでない曲を7~8曲まとめて一枚のアルバムにして販売するという手法を行っていました。しかし、ネットで曲を一曲単位で購入する事が出来るようになると、アルバムの販売枚数は激減しました。聞きたくも無い曲のために、余分なお金は支払いたくないという当然の行動の現れです。
雑誌やテレビも今後はデジタル化が浸透する事で、同じような流れが生まれてくるでしょう。読みたい記事が10ページしかないのに、100ページもある雑誌を買いたいとは思わないでしょう。たった一組のお笑いタレントが見たいために、他のどうでも良いお笑いタレントが出ている番組を買いたいとは思わないでしょう。
コンテンツのデジタル化が普及する事で、記事の単体売り、番組内容の分割売りといった手法も可能になります。
視聴者は見たい番組だけにお金を払い、読書は読みたい記事だけにお金を払う。粗悪な番組や記事を書いている人達は淘汰され、より「質」が求められる事になっていくのではないでしょうか。
「大量の素材を一つのパッケージとして販売していた従来までのコンテンツビジネス」から、「素材一つ一つを商品として切り売りしていく。」そんなパラダイムシフトがコンテンツ業界に浸透していくと予想します。
□良質なコンテンツを育てるために、消費者の意識改革も必要
大量の電子書籍が流通し、電子書籍市場が情報商材のような粗悪なコンテンツで埋まらないようにするためには、私達消費者自信が成長する必要があるのではないでしょうか。
消費者の購買意欲を刺激する、「キャッチャー」なコンテンツを買うのではなく、そのコンテンツの本質を見極め、良質なコンテンツを購入する。消費者自信の目が肥える事で、粗悪なコンテンツは淘汰され、コンテンツの質が成長する。
コンテンツビジネスの変革の時代。製作者から消費者までダイレクトにコンテンツが提供出来る時代。それは、コンテンツを購入するという事は、そのコンテンツの製作者に「投資」するという事でもあるという事を認識して、「お金を払う意味」をもう一度考える時代の転機なのかもしれませんね。

うーんどうなんでしょう?
返信削除よく言われますけど、業務の電子化が進んで
印刷物が減るといわれた事もありましたが実際印刷物は
増えているようですし。
やはり、紙媒体の可読性の良さと、すぐに書き込めると
いうのは、なかなかまだ、電子書籍では実現出来ていないのかなと個人的に思います。
個人的には、こういうガジェットは好きなので、
普及してもらって、安く本を読めれば越したことはないですけど・・・
既存の既得権益を持っている人たちの抵抗が相当大きそう
あと、電子BOOK本体を買う初期投資ぐらいかな、
まだ高くて一般の人は本を読むための箱を買う気にはならないのでは?
amazonがタダかすごく安く配って、データはamazonで買ったのしか読めないとか(笑)
ドラスティックな変化は難しいと思いますが、流れとしては電子書籍でしょうね。
返信削除すでに、辞書は電子辞書の方が一般的な感じなので書籍のジャンル毎に異なった流れになると思っています。
AppleのiPodとiTunesのようなデバイスとコンテンツ販売システムが整備・強化出来る会社が現れると流れが加速しそうですが、著作権や販売権等、出版社が持つ利権を買い取る資本力を考慮するとかなりの資本力が必要なので、実現できそうな企業は限られていますが・・・。
そう言う意味では、amazonやgoogleあたりの今後に期待ですかね。
「素材一つ一つを商品として切り売りするパラダイムシフトがコンテンツ業界に起きる」
返信削除同意します。
流通のデジタル化の波に抗えず疲弊しているのはゲーム業界も同じですが、現在ニコ動やpixivなどネット各地で盛り上がりつつあるDIY、UGC的なブームは今後加速していくと思われます。
そこで、既成の完成品を丸々一本販売する従来のゲームではなく、消費者(或いは生産消費者)の望むゲーム素材(キャラクターCGや楽曲など)を単品で売り、後はユーザー同士で勝手に好みのゲームを作り上げていくような新しい消費の仕方も展望出来るのではないかと。
新たなビジネスチャンスとして挙げられた、「原稿編集代行業」のゲーム版として、ユーザー自作のシナリオに絵やプログラムを提供するニッチ産業も現れるかも。
何にせよ、今後のコンテンツビジネスからは目が離せない思いです。
今は紙から電子媒体への移行というところに目が行きがちですが、電子化してしまえば、従来の紙媒体の形態にとらわれることなく、例えば章ごとのバラ売りとか、ウェブに書いてあることを深く追求したものを電子書籍化といったような、新しい形態も発展してくるのでしょうね。
返信削除ただ、業態がここまで変わって、薄利多売化していくということは、著述、出版という商売で食っていくということがこれまで以上に厳しくなっていくということでしょうから、参入障壁が低くなるとともに、平均的な質も下がるような気がします。
「著者や出版社にとっては、今以上に「ブランディング」が重要になるのではないか」とありましたが、出版社や著者の「ブランド力」よりも口コミサイトやランキングサイトの動向がいっそう重要になってくるのではないでしょうか。
返信削除ゆえに消えゆく産業に、出版社、著述業を加えるべきでは。
だんだん無になっていく
返信削除5年後の予想図示ですが、これって現行の状況そのままではないかと思います。
返信削除単純に「読者」に届く箇所だけをみても、書店や図書館で電子書籍を取り扱うことも既に一部で行われています。
どこまで混じり合い、そしてその中ならどんな新しいサービスが生まれるかという点に注目された方が意義があるでしょう。ここがビジネスチャンス。
ためになりました。
返信削除