昨日一部のマニアの間で話題になった、こちらの記事。
この記事で重要だと思われる記述は以下の通り。
・IPv4アドレスは既に9割が消費されていて、後2年で底がつくと予想されている。
・しかし、よく探せばIPv4には使われていない休眠アドレスが存在する。
・休眠アドレスは世界中に約1億5000万個あると推測されており、在庫切れを1年程度遅らせられる可能性がある。
この記事だけを読むと、アドレスは枯渇しかかってるけど、この制度が施行されるお陰で、在庫切れ予測が簡単に一年延びると単純に読めてしまいます。
そこで、JPNICの前村さんが、この記事に対してブログをお書きになられました。
この記事で前村さんはこのようにおっしゃっています。
・記事を読むと(読売新聞の)、JPNICが積極的に移転による延命を推進しているように思えるかもしれませんが、そうではない。
・移転を含む需要引き当てのための再循環による効果(この制度が許可されたことによる効果)は限定的だと考えています。
と、フォローされていらしているのですが、この問題が先月開催されたJPOPMで可決された時に、私は「条件付で賛成にすべきだと」主張していました。
私の考えていた、条件付きとはこういう内容でした。
・IPv6移行に伴なうIPv4アドレス空間確保のため(アドレス変換用等)
・施行開始は二年後から
理由は、前村さんがフォローされているように、世間一般の方々には、この制度が認可される事によって、アドレス問題はまたなんとかなりそうだ→IPv6導入はやっぱり必要ないという認識が広まるのではないかと恐れたからです。
こういった記事が経営層の目に付く事によって、IPv4アドレス枯渇対策の経営判断の遅れを招くことが現在のインターネットの状況にとって、最大のリスクだと思ったからです。
事実この記事がmixiにも掲載され、その記事に対するコメントを読みましたが、「やっぱりIPv6はいらない」「狼少年再来」といった内容の記事がたくさんありました。世間の人達にとってはJPNICのニュースレターより、読売オンラインの方が身近な存在なのです。そして、それは企業経営層にとっても同じことです。
IPv4アドレス枯渇問題の本質は、インターネットの永続的な発展が目的であって、IPv6を導入する事が目的ではありませんから、そのための手段は私は何でも良いと思っています。
経営者もある意味、「手段は何でも良い」と考えています。
そうです、このアドレス移転制度が最も安上がりで、手軽に実施出来るなら、経営層はこれで良いと判断することでしょう。
前村さん達の努力もあり、世間ではIPv4アドレス枯渇は、ビジネス継続のリスクがあるという観点で、対策すべきという認識が広まりつつ有り、私自身も各企業はその対策に乗り出してきていると感じていました。
しかし、ここにきて、アドレス移転制度が認可され、こういう記事が出回る事によって、最もお金がかからず、手軽に対応出来る対策案ではないか?との認識が広まれば、対策を検討していた人達には、この案も選択肢に入れて、再度、検討を迫られる事になるでしょう。
日本国内を含むアジア圏では、IPv6ネイティブ接続事業者の選定も決まり、IPv6化に向かって重いながらも着実に歩みが進んできていると、感じていましたが、また振り出しに戻ってしまうことのないよう、上手く舵をきって頂ければと願うばかりです。
最後に個人的な私見ですが、この制度が認可される事によって発生すると予想される懸念点を列挙します。他対策との比較検討を行う際の材料にして頂ければ幸いです。
□アドレス売買が活発化する事による懸念点
BGP関連
・細切れの経路情報が広報されることによって、BGP経路情報が増える
・BGPルータの障害発生時の切り替わり時間が長くなる
・BGPルータのメモリアップグレードが必要性になる可能性がある
※この問題は自社がアドレス移転制度を実施しなくても該当する恐れアリ。
制度関連
・資産的価値をもつことによって、税制上の問題が發生する可能性がある。
(IPアドレスが課税対象になるかも)
・マネーロンダリングに利用される可能性
・アドレス管理の複雑化
(まとまったアドレス空間を取得する事は難しいかもしれない)
□現在のIPアドレスの相場
・一個 $1前後。
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